「預金に置いたままのお金を、もう少し利回りのある場所に移せないか」と考えている方にとって、年3%台という数字は目を引きます。ただ、聞き慣れない商品だと判断材料そのものが手元にありません。
2026年8月31日、大和証券グループとクレディセゾンが設立した Fintertech株式会社が、貸付型クラウドファンディング (投資家から集めた資金を企業に貸し付け、利息を分配する仕組み)「Funvest」で新ファンド「FRAT 名古屋マンションファンド1-2号」の募集を9月4日から開始すると発表しました。想定利回りは年率3.55%(税引前)、想定運用期間は約6ヶ月です。
年率の数字は預金より高く見えますが、約6ヶ月の運用で受け取る額は年率そのままではありません。この記事では公表された条件を整理し、出資額別の受取額に置き換えたうえで、申し込む前に確認しておきたい点をまとめます。
新しく募集されるのはどんなファンド?
ファンドの条件
公表されている条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ファンド名称 | FRAT 名古屋マンションファンド1-2号 |
| 想定利回り(税引前) | 年率3.55% |
| 想定運用期間 | 約6ヶ月 |
| 運用時通貨 | 日本円 |
| 募集額上限 | 1億円 |
| 出資単位 | 10万円(10口)以上、2,000万円(2,000口)以下・10万円単位 |
| 募集期間 | 2026年9月4日〜2026年9月11日(先着順) |
出典: Fintertech株式会社「貸付型クラウドファンディング『Funvest』9/4より新ファンド『FRAT 名古屋マンションファンド1-2号』の募集開始」(2026年8月31日)
最低出資額が10万円単位という点は、1万円から始められるサービスと比べると入口が大きめです。募集は先着順で、上限に達した時点で締め切られます。
資金の流れと貸付先
集まった出資金は、株式会社FRAT に対して不動産購入資金として貸し付けられます。投資家が受け取る利息の原資は、この会社からの返済です。FRAT は2013年設立で、投資用不動産の販売と投資用マンションの開発を主軸にしている会社と公表されています。
つまりこのファンドは、複数の会社に分散して貸すのではなく、貸付先が1社に絞られた 形です。物件の名前がついていても、返済するのは物件ではなく会社という点が出発点になります。
年3.55%は実際いくら受け取れるの?
出資額別の受取額
想定運用期間は約6ヶ月なので、年率3.55%をそのまま受け取るわけではありません。半年分に引き直すと約1.775%です。
| 出資額 | 税引前の受取利息(約6ヶ月・概算) |
|---|---|
| 10万円 | 約1,775円 |
| 50万円 | 約8,875円 |
| 100万円 | 約17,750円 |
| 500万円 | 約88,750円 |
想定利回りと想定運用期間から計算した概算で、実際の運用日数や運用結果によって変わります。分配金は雑所得 (給与や事業所得などに当てはまらない所得)として課税される扱いで、NISA の非課税枠の対象商品にも含まれません。
出典: 国税庁「No.1500 雑所得」 / 金融庁「NISAを知る」
4%の目安との位置関係
ゆるふえでは、配当と優待を合わせた利回りが4%を超えるかどうかを投資判断の目安にしています。年率3.55%は税引前の想定値なので、この目安には届きません。使い方としては、新NISAでゆるく積み立てる土台 を作ったうえで、余剰資金の置き場を検討するときの選択肢という位置づけになります。
もうひとつ見落としやすいのが、約6ヶ月で運用が終わる点です。1年を通して年3.55%相当で回し続けるには、終わったあとに同じ条件のファンドを確保し直す必要があります。募集が先着順である以上、次も同条件で入れるとは限りません。
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貸付先の信用に結果が集中する
貸付型は、株式のように価格が日々動く商品ではありません。その代わりに、借り手が返せなくなったときに元本や利息が戻らないという形でリスクが出ます。今回のファンドは貸付先が1社なので、その1社の資金繰りがそのまま結果に直結する 構造です。この論点は ソーシャルレンディング参入で押さえたい3つの注意点 でも整理しています。
運用期間中は資金を動かせない
想定運用期間は約6ヶ月で、その間は原則として資金が拘束されます。半年後に使う予定のあるお金や、生活防衛資金を回す先には向きません。先に現金として確保しておく分を決めてから、残りで検討する順番が安全です。
キャンペーンは利回りとは別枠
今回は出資額に応じて最大30,000円分の Amazon ギフトカードが提供されるキャンペーンも同時に実施されると公表されています。一時的な特典なので、恒常的な利回りに足し込んで考えると判断が甘くなります。利回りの評価とキャンペーンの評価は分けて見ておきましょう。
まとめ: 何を考えればよいか
- 新NISAの枠を使い切っていない方 : 非課税で運用できる枠を埋めるほうが優先度は高くなります
- 生活防衛資金が生活費6ヶ月分に届いていない方 : 資金が半年拘束される商品は見送り、現金の確保が先です
- すでに新NISAを満額活用している方 : 余剰資金の一部を置く選択肢として、貸付先1社の信用リスクを確認したうえで判断できます
- 貸付型が初めての方 : 最低10万円単位なので、まずは仕組みと税金の扱いを把握してから金額を決めましょう
- 口座をこれから開く方 : 貸付型の前に、SBI証券の始め方 で新NISAの土台を作る順番がおすすめです
想定利回りは確定利回りではありません。数字の高さではなく「誰に貸すのか」「いつまで動かせないのか」を先に確認して、無理のない金額から検討してみてください。