株主優待の中身が「暗号資産」と書かれていたら、もらえる金額よりも先に「自分で扱えるのだろうか」と思いますよね。使い慣れていないものが届く優待は、金額だけでは判断しにくいものです。

セレス(証券コード3696)が2026年8月24日に開示した「今期(2026年12月期)の株主優待の実施に関するお知らせ」は、まさにそのタイプです。付与されるのはイーサリアムとジパングコインの2種類で、受け取るには専用の口座が必要 になります。

この記事では、何がいくら付与されるのかを確認したうえで、受け取りに必要な条件と、配当を合わせた利回りまで整理していきます。

どんな優待が付与されるのでしょうか

株数によって2段階です

基準日は2026年12月末で、1単元(100株)以上の保有が対象です。

保有株式数 付与の内容 合計
100株以上300株未満 イーサリアム(ETH)2,500円相当+ジパングコイン(ZPG)2,500円相当 5,000円相当
300株以上 イーサリアム(ETH)10,000円相当+ジパングコイン(ZPG)10,000円相当 20,000円相当

付与する数量は2027年1月1日7時00分時点の価格 で算出して決定されます。暗号資産は相場変動があるため、受け取り時点の円換算額は変わる可能性があると開示資料に明記されています。

300株以上のほうが利回りが高くなります

この優待には珍しい特徴があります。開示日の終値2,251円(株探調べ)で計算すると次のようになります。

保有株式数 投資額 優待額 優待利回り
100株 225,100円 5,000円相当 2.22%
300株 675,300円 20,000円相当 2.96%

株主優待は通常、株数を増やすほど1株あたりの優待価値が下がっていきます。この制度は逆で、300株以上のほうが優待利回りが高くなる 設計です。100株を3つ分持つより、300株にまとめたほうが受け取れる金額が大きくなります。

受け取るには何が必要でしょうか

専用口座の開設が条件です

ここが実務上の要点です。優待を受け取るには、同社の連結子会社である株式会社マーキュリーが運営する暗号資産販売所「CoinTrade」に、株主本人名義の口座 を開設している必要があります。

開示資料には次の条件が並んでいます。

項目 内容
口座開設の期限 2027年9月30日まで
年齢の条件 18歳未満および80歳以上は開設不可
名義 株主本人のみ。家族を含む他者名義では受け取れない
照合 株主情報と口座情報が不一致の場合は付与対象外

年齢による制限があるため、株を持っていても優待を受け取れない場合があります。暗号資産の特性を踏まえた措置と説明されています。

申込と付与は翌年です

スケジュールも確認しておきます。基準日から実際に受け取るまでに時間がかかります。

時期 内容
2026年12月末 基準日
2027年1月1日 7時00分 付与数量を算定する価格の基準時点
2027年3月下旬 定時株主総会後、優待の案内が郵送される
2027年5月〜10月 CoinTrade 口座への振込
2027年9月30日 口座開設の期限

基準日から付与まで、早くても5か月ほど先という流れです。

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自動で運用が始まります

もう一つ知っておきたいのが、付与された暗号資産の扱いです。開示資料によると、優待で付与される暗号資産はステーキングまたはレンディングへの申込みがあらかじめ選択された状態 で付与され、自動的に運用が開始されます。

ステーキング (保有する暗号資産を一定期間預け入れ、ネットワークの運営に参加して報酬を受け取る仕組み)と、レンディング (暗号資産を一定期間貸し出して報酬を受け取る仕組み)のいずれかです。運用を希望しない場合は、受け取り後に設定の変更や解除ができるとされています。

届いたものがそのまま置かれるのではなく、初期設定として運用に回る形です。意図しない状態を避けたい場合は、受け取り後の設定確認が必要になります。

投資として見るとどう評価できるでしょうか

総合利回りは6.22%です

配当と合わせて数値を並べます。

項目 数値
株価(2026年8月24日の終値) 2,251円
最低投資額(100株) 225,100円
1株あたり配当(2026年12月期 会社予想) 90円
配当利回り 4.00%
優待利回り(100株) 2.22%
総合利回り 6.22%

ゆるふえでは「配当+優待利回りで4%以上」を投資判断の目安にしていますが、この銘柄は6.22%で目安を上回ります。300株で計算すると総合6.96%です。

ただし優待分の2.22%は、CoinTrade の口座を開設して申込を済ませた場合の数字です。口座を作らない場合、手元に残るのは配当の4.00%だけになります。

増配が続いています

配当の推移を見ると、還元を強めている流れが読み取れます。

決算期 1株配当 配当性向
2022年12月期 20円 484.9%
2023年12月期 20円 50.5%
2024年12月期 60円 46.5%
2025年12月期 80円 36.9%
2026年12月期(予想) 90円

業績も伸びています。2025年12月期は売上高296.6億円・営業利益23.3億円・当期純利益25.0億円で、2026年12月期は売上370億円・営業利益37.0億円・当期純利益60億円の予想です。自己資本比率は35.5%です。

配当性向は2023年の50.5%から2025年の36.9%へ下がっていますが、これは配当を減らしたからではなく利益の伸びが配当の伸びを上回ったためです。増配しながら配当性向に余裕が生まれている形になります。

推し度: 中

ゆるふえとしての評価は推し度「中」です。

配当利回り4.00%は単独でも目安を満たす水準で、増配が続いていること、配当性向36.9%に余裕があることは長く持つ前提で評価できます。総合利回り6.22%という数字も魅力的に映ります。

一方で優待部分は、受け取れる人が条件で絞られます。専用口座の開設、本人名義、年齢制限、そして付与後は自動で運用が始まるという点まで含めると、手間を許容できるかどうかで価値が変わります。暗号資産を扱う予定がない方であれば、この銘柄は「配当利回り4%の株」として見るのが実態に近いでしょう。

暗号資産に触れてみたいと考えていた方には、少額から現物を受け取れる入口になります。そこは好みの分かれるところですので、上の条件をご自身の状況に当てはめて判断してみてください。

まとめ

  • 基準日は2026年12月末、100株以上で5,000円相当、300株以上で20,000円相当の暗号資産(ETHとZPG)が付与されます
  • 受け取りには子会社が運営する「CoinTrade」の本人名義口座が必要で、18歳未満と80歳以上は開設できません。付与は2027年5月から10月です
  • 配当利回り4.00%と合わせた総合利回りは6.22%です。口座を作らない場合は配当の4.00%だけになります

優待の中身が使い慣れないものだったときは、金額の前に「受け取るまでに何が必要か」を数えてみてください。条件の数がそのまま手間の量になります。

出典は適時開示の一覧(IR BANK)決算実績(IR BANK)Yahoo!ファイナンス株探です。優待の適用条件は変更される場合がありますので、最新の内容は各社の公式情報でご確認ください。