優待を目当てに買った銘柄が、1年ほどで優待を廃止する。そんな展開に出会うと、銘柄選びの基準そのものを疑いたくなりますよね。
コンヴァノ(証券コード6574)が2026年8月24日に開示した「株主優待制度の廃止に関するお知らせ」は、まさにその形です。廃止されるのはビットコインとネイルサービス券を組み合わせた優待で、新設されたのは2025年9月 でした。
この記事では、いつまでの優待が受け取れるのかを確認したうえで、この会社が優待制度をどう変えてきたのかという履歴と、同時に決議された株式併合まで整理していきます。
いつまでの優待が受け取れるのでしょうか
2026年9月30日基準が最後です
開示資料には次のように明記されています。2026年9月30日現在の株主名簿に記録された株主への優待をもって制度を終了し、2027年3月31日を基準日とする優待以降は実施しない という内容です。
9月30日を基準日とする優待は予定どおり実施されます。この日は後述する株式併合の効力発生日(2026年11月1日)より前にあたるため、併合前の株式数で区分を判定すると開示資料に説明されています。
廃止される優待の内容
廃止されるのは、2026年3月23日の拡充後の内容です。基準日は9月末日と3月末日の年2回でした。
| 所有株式数 | 各基準日の優待内容 | 年間合計 |
|---|---|---|
| 1,000株以上2,000株未満 | ビットコイン1,000円相当+FASTNAILネイルサービス無料提供券1回分(6,500円相当) | 15,000円相当 |
| 2,000株以上3,000株未満 | ビットコイン2,000円相当+同2回分(13,000円相当) | 30,000円相当 |
| 3,000株以上4,000株未満 | ビットコイン3,000円相当+同3回分(19,500円相当) | 45,000円相当 |
| 4,000株以上5,000株未満 | ビットコイン4,000円相当+同4回分(26,000円相当) | 60,000円相当 |
| 5,000株以上 | ビットコイン5,000円相当+同5回分(32,500円相当) | 75,000円相当 |
会社は廃止によって2027年3月期以降、年間で概ね23百万円の費用が減る見込みとしており、連結業績への影響は軽微と説明しています。
なぜ1年で廃止になったのでしょうか
開示に書かれた理由は還元方法の転換です
廃止の理由として開示資料に書かれているのは、株主還元の在り方を改めて検討した結果、今後の株主還元は配当および自己株式の取得を中心に検討する ことが株主全体の利益に資すると判断した、というものです。
優待をやめて配当と自己株買いに寄せる、という説明です。優待は受け取れる株主の条件が限られる一方、配当や自己株買いは保有株数に比例して効果が及びます。
優待制度は短期間で変わってきています
この発表を読み解くうえで、同社が優待制度をどう扱ってきたかという履歴が参考になります。適時開示をたどると次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2021年12月 | 株主優待制度の新設 |
| 2022年2月 | 2022年3月期 優待内容の決定 |
| 2023年11月 | 株主優待制度の廃止 |
| 2025年9月 | 株主優待制度の新設(ビットコイン・FASTNAIL優待割引券) |
| 2026年3月 | 株主優待制度の拡充 |
| 2026年8月 | 株主優待制度の廃止(今回) |
新設から廃止までを2回繰り返している ことになります。今回廃止される制度は新設から約1年、拡充から数えると5か月での終了です。
なお同社は2025年7月以降にビットコインの購入を決議して保有を進め、2026年8月13日に「保有する暗号資産の売却完了」を開示しています。優待廃止の開示はその11日後にあたります。開示資料に両者の関係は書かれていないため、ここでは時系列の事実として並べておきます。
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おすすめ証券口座を見る株式併合も同時に決議されています
もう一つ押さえておきたいのが株式併合です。同社は普通株式10株を1株に併合 する方針を決定しており、効力発生日は2026年11月1日が予定されています。2026年9月30日開催予定の臨時株主総会で承認されることが前提です。
2025年7月と8月に株式分割を2回実施した後の併合という流れになります。投資単位を適切な水準に調整する目的と説明されています。
株主総会の日と、最後の優待の基準日が同じ2026年9月30日である点は、日付として重なっています。
ここから何を読み取れるでしょうか
株価と利回り
開示日時点の数値を並べます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 株価(2026年8月24日の終値) | 126円 |
| 100株の購入額 | 12,600円 |
| 優待に必要な1,000株の購入額 | 126,000円 |
| 1株あたり配当 | 1円 |
| 配当利回り | 0.79% |
1,000株を保有した場合、9月末基準の優待はビットコイン1,000円相当とネイルサービス券1回分(6,500円相当)の計7,500円相当です。126,000円に対して5.95%にあたりますが、これは1回で終了する優待 で、以降は実施されません。
配当は1株1円で利回り0.79%です。ゆるふえの目安である「配当+優待利回りで4%以上」を継続的に満たす構造は、優待廃止後には残らないことになります。
直近の決算
| 項目 | 2026年3月期 実績 | 2027年3月期 予想 |
|---|---|---|
| 売上高 | 155.0億円 | 268億円 |
| 営業利益 | 16.0億円 | 89.6億円 |
| 当期純利益 | -10.6億円 | 58.2億円 |
2026年3月期は売上が大きく伸びた一方で当期純利益は赤字でした。自己資本比率は57.6%です。2027年3月期は大幅な増益予想が置かれています。
推し度: 低
ゆるふえとしての評価は推し度「低」です。
理由は優待の中身ではなく、制度の安定性 にあります。新設から廃止までを2回繰り返しており、今回は拡充から5か月で廃止されました。優待を受け取るために1,000株を持ち続ける、という前提が成り立ちにくい銘柄です。
還元を配当と自己株買いに寄せるという方針そのものは、株主全体に効果が及ぶ方向の転換です。ただし現在の配当利回りは0.79%で、その方針が数字として現れるかどうかは今後の開示を見る必要があります。
すでに保有している方は、9月30日基準の優待が最後になる点だけ押さえておけば十分です。これから優待を目的に検討する場合は、1回限りの受け取りになることと、株式併合が総会の承認にかかっていることの2つを確認してみてください。
まとめ
- 2026年9月30日基準の優待が最後で、2027年3月31日基準以降は実施されません。9月末分は予定どおり実施されます
- ビットコインとネイルサービス券の優待は2025年9月の新設、2026年3月の拡充を経て今回廃止となりました。同社は2023年11月にも優待を廃止しています
- 同時に10株を1株にする株式併合が決議され、2026年9月30日の臨時株主総会の承認を前提に11月1日の効力発生が予定されています
優待の内容が魅力的に見えるときは、その制度がいつ始まったものかを確認してみてください。始まったばかりの制度は、終わるのも早いことがあります。
出典は適時開示の一覧(IR BANK)、決算実績(IR BANK)、Yahoo!ファイナンス、株探です。優待の適用条件は変更される場合がありますので、最新の内容は各社の公式情報でご確認ください。