株主優待の開示を開いたのに「◯◯円相当」という肝心の金額が書かれていない。そんな発表に出会うと、自分の取り分がどうなるのか分からず落ち着かないですよね。
ロゴスホールディングス(証券コード205A)が2026年8月20日に開示した「『多階建てシェア型株主優待』の特別基準日(2026年8月12日)における対象株主数確定に関するお知らせ」は、まさにそのタイプの発表です。金額が書かれていないのは情報が足りないからではなく、金額が株主数で決まる設計になっている ためです。
この記事では、この優待の金額がどう決まるのかを整理したうえで、今から買う場合に間に合う部分と間に合わない部分、そして開示日時点の配当利回りまで確認していきます。
この開示は何を知らせているのでしょうか
優待の総額が先に決まる「シェア型」です
一般的な株主優待は「100株以上でQUOカード1,000円分」のように、1人あたりの金額が先に決まっています。この銘柄はその逆で、配る側の総額が先に固定される 方式です。
会社のIR情報によると、優待の原資は次の2階建てになっています。
| 階層 | 必要株数 | 優待原資(総額) |
|---|---|---|
| 1階部分 | 200株以上 | 20,000千円(2,000万円) |
| 2階部分 | 300株以上 | 10,000千円(1,000万円) |
この総額を、基準日時点の対象株主数で按分した金額が1人分になります。シェア型 (総額を株主で分け合う方式)と呼ばれるのはこのためです。8月20日の開示は、この割り算の分母にあたる対象株主数が確定したことを知らせるものでした。
優待品は電子ギフトで、Amazonギフトカード・PayPayマネーライト・dポイント・楽天ポイントギフトなどから選ぶ形式とされています。
1階と2階で基準日が違います
この制度でもう一つ押さえておきたいのが、基準日の設定です。通常は毎年5月31日ですが、初回にあたる2027年5月期分だけは特別基準日が設けられています。
| 対象 | 基準日 |
|---|---|
| 1階部分(初回) | 2026年8月12日〜14日(株式売出しの受渡期日) |
| 2階部分(初回) | 2026年11月30日 |
| 2028年5月期以降 | 毎年5月31日 |
つまり、この記事が扱う8月20日の開示時点で、1階部分の特別基準日はすでに経過しています。今から株を買っても2027年5月期分の1階部分には間に合わない、という読み方になります。2階部分の基準日は同年11月30日で、開示日時点ではまだ先の日付です。
2028年5月期分からは「前年5月末日から同一の株主番号で継続して記載または記録されていること」が条件に加わります。1年以上の継続保有が前提になる制度です。
もらえる金額はどう決まるのでしょうか
株主数で1人あたりの金額が変わります
シェア型では、株主が増えるほど1人分は薄まります。開示日の終値1,681円(株探調べ)で200株を買う場合の投資額336,200円を分母に、1階部分の原資2,000万円を株主数で割った場合の金額を並べると次のようになります。
| 対象株主数 | 1人あたりの優待額 | 200株での優待利回り |
|---|---|---|
| 500人 | 40,000円 | 11.90% |
| 1,000人 | 20,000円 | 5.95% |
| 2,000人 | 10,000円 | 2.97% |
| 3,000人 | 6,667円 | 1.98% |
| 5,000人 | 4,000円 | 1.19% |
この表は仕組みを当てはめた計算であって、確定した金額ではありません。8月20日の開示で確定した対象株主数そのものは、開示資料(PDF)で公表されています。実際の1人あたりの金額を知りたい場合は、適時開示の一覧(IR BANK)から当日の開示資料を確認してみてください。
株主優待としては珍しい設計ですが、受け取る金額が事前に確定しない という性質は、優待利回りを軸に銘柄を選ぶ場合には扱いにくい要素になります。
開示日時点の株価と配当利回り
一方で、配当は金額が確定しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 株価(2026年8月20日の終値) | 1,681円 |
| 最低投資額(200株) | 336,200円 |
| 1株あたり配当(2027年5月期 会社予想) | 88.75円 |
| 配当利回り | 5.28% |
| 200株での年間配当額 | 17,750円 |
配当は2026年7月15日発表の会社予想で、前期の63.39円から25.36円の増配となる見込みです。ゆるふえでは「配当+優待利回りで4%以上」を投資判断の目安にしていますが、この銘柄は優待額が未確定のまま、配当だけで4%の目安を超えている 構造になります。
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直近の決算と自己資本比率
2026年7月15日に発表された2026年5月期の実績と、2027年5月期の会社予想は次のとおりです。
| 項目 | 2026年5月期 実績 | 2027年5月期 予想 |
|---|---|---|
| 売上高 | 495.0億円 | 542.7億円 |
| 営業利益 | 14.5億円 | 21.1億円 |
| 当期純利益 | 8.0億円 | 11.6億円 |
| 1株配当 | 63.39円 | 88.75円 |
売上・利益ともに増加を見込む予想で、配当性向は2026年5月期で31.1%です。ただし自己資本比率は17.4% (前期16.1%)と高くはありません。持株会社として住宅販売事業を主力とする建設業で、借入を使って事業を回す業態にあたります。
上場市場は東証グロース、時価総額は約66億円(2026年8月19日時点)の小型株です。業績の振れ幅は大型株より大きくなりやすい区分になります。
優待原資が利益に占める重さ
1階と2階を合わせた優待原資は3,000万円です。2026年5月期の当期純利益8.0億円に対して約3.7%にあたります。
この比率をどう見るかは判断が分かれるところですが、シェア型は「株主が増えても会社の負担は増えない」設計でもあります。1人あたりの金額が変動する代わりに、会社側のコストは総額で固定されます。優待の継続性という観点では、負担が青天井にならない仕組みは持続しやすい方向に働きます。
推し度: 中
ゆるふえとしての評価は推し度「中」です。
配当利回りが開示日終値で5.28%あり、増配が続いている点は魅力的に映ります。優待品も電子ギフトで使い道の自由度が高い部類です。一方で、1人あたりの優待額が事前に確定しないこと、自己資本比率が17.4%であること、東証グロースの小型株であることの3点から、条件は悪くないものの好みで判断していただく水準と考えています。
とくに1階部分の特別基準日がすでに過ぎている点は、今から検討する場合に効いてきます。優待を主目的に買うのであれば、次の基準日がいつになるかを開示資料で確認してからのほうが落ち着いて判断できます。
まとめ
- 優待の原資は1階(200株以上)2,000万円・2階(300株以上)1,000万円で総額が固定され、1人あたりの金額は対象株主数で割って決まります
- 初回の特別基準日は1階が2026年8月12日〜14日、2階が2026年11月30日です。開示日時点で1階はすでに経過しています
- 開示日終値1,681円で配当利回りは5.28%。優待額が未確定でも配当だけで4%の目安を満たす一方、自己資本比率は17.4%です
優待の金額が書かれていない開示に出会ったら、まず「何が固定されていて、何が変動するのか」を切り分けてみてください。この銘柄の場合、固定されているのは会社が出す総額のほうでした。
出典は株主情報(ロゴスホールディングス)、適時開示の一覧(IR BANK)、決算実績(IR BANK)、Yahoo!ファイナンス 株主優待、株探です。優待の適用条件は変更される場合がありますので、最新の内容は各社の公式情報でご確認ください。